イデヤっ子通信
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2020年9月号イデヤっ子2020年9月号 ~ 50周年 特別企画 ~
50周年 特別企画 ~ 「50才のイデヤ」① 創業社長 出村 剛 全5回シリーズ ~(初回は紙面を拡大してお届けします)
2020年9月1日より、弊社は創業50周年を迎えます。これもひとえに皆様のご支援の賜物です。
そこで弊社の創業社長の出村に、その軌跡について投稿を依頼し、全5回シリーズで掲載させて頂きます。僭越ながら、ご一読の程、よろしくお願い致します。
この9月からイデヤは決算期の50回目に突入しました。その昔、日経新聞が出版した「会社の寿命は30年」を読んだことを思いだし、ヨロヨロしながらも50年間も生きてきたか、と感慨深くその道のりを思い起こします。
大企業の機械設計部門で働いていた私が「この頭からわき出してくるアイディアを活かす仕事をしてみたい」と、後輩のKさんと二人で世間の中へ飛び出したのは33才の時でした。それまで働いていた会社を飛び出すと給料が無くなる……もうすぐ幼稚園に入る子供が居る家族持ちの私は、目先の生活費を稼がねばならず、最初に始めたのは機械設計の仕事でした。以前の会社や飛び込み営業で機械設計の仕事を頂き、日々の生活費を稼ぎ、更に少しばかりの貯金もできるようになりました。
そんなことを2年ほども続けていると、お客様から「設計だけでなく、装置も作ってくれないか」と依頼を受けるようになったが、ビルの1室に製図板を置いた程度の仕事場で機械を作ることはできない。そこで、親しくしていた町工場の社長にお願いし、工場の軒先を借りて機械らしい物を作り始めた。私とKさんは機械設計のベテランだったが、自分の手でレンチを握り、ねじを締めた経験が無い。ど素人の二人がモタモタしているのを見かねて、協力してくれる人が一人、また一人と集まり、数年後には10人ほどの町工場になった。
そんな頃、知人が経営する滋賀県の工場を訪問したとき、彼がポツリとつぶやいた…
「近くにあるNECの協力会社に頼まれてトランジスターにハンダメッキをする自動機を作った。大変に苦労してヤット納めたが、 2台目の話は断った」。
その話に興味を持った私は、その足で自動ハンダ機が稼働している工場を訪れ、その様子をじっくり観察した。それは溶けたハンダ槽へトランジスターの脚をジャボッと浸ける簡単なメッキ方法で、装置の基本アイディアは良いのだが、安定した機械へまとめ上げる機械設計が素人臭い。私は大津市にあるNECの工場を訪れ、私と同年配とおぼしき生産技術課長Hさんに私の構想を説明すると、すぐに注文書が手にできた。この装置を納入して、更に次の……と言うときH課長が「ロータリーインデックスを使う方法が面白いのでは?」「エッ!そのロータリー……とは何ですか?」私はコンベヤーやクレーンなどの大型機械の設計技術者として育ったが、小さな電子分品を処理する自動機の世界には全くの素人だった。市販品のロータリインデックスのユニットを利用したハンダ浸け装置の1号機を納めると、2号機、3号機の注文が続き、その都度いろいろな部分に改良を加えて完成度を上げ、コストを下げ、売価も下げていった。
そんな頃、H課長が「この装置なら他のトランジスターメーカへも売れると思うよ」とポツリ。
社員の思い出 ~ 食い逃げでもプロはプロ!~
先日、弊社内の雑談で“プロとは?”と言う議論になり、一人の社員が30年前の衝撃を語ってくれました。
京都の繁華街で私は友人3人と共に、路地裏にあった一軒のお好み焼き屋に入りました。いかにも庶民的なお店で、おばちゃん二人が忙しく切り盛りしており、満席近く繁盛していました。我々がお好み焼きを食べていると、店中に響く大声で、一人のおじさんが入って来ました。
おじさん「毎度!今日はパチンコ勝ったから、腹いっぱい食べるわ。」
おばちゃん「はーい いらっしゃい! そっか!そらよかったなぁ。」
おじさん「えっと、・・・と・・・と。それとビールね」
以降もその男性とおばちゃんの楽しい会話は続き、男性の元にビールやお好み焼きが出されました。そんなやり取りを、何気なく耳にしながら、私と友人は自分達の食事を続けました。そして、10分程経った時、「やられた!」おばちゃんの大声が店内に響きました。おばちゃんの手には空っぽのセカンドバック。もちろん、大声のおじさんはもう居ません。呆気にとられた私は、少ししてから友人や他のお客様と話し、その概要を理解する事ができました。
(1) 自分が常連であるように他の客に思わせ、油断させる。(おばちゃん曰く一見さんだったようです)
(2) お店に対しても、堂々とした態度と金がある事をアピールしで油断させる。
(3) 料理をサッと食べ、空っぽのかばんをテーブルに置いて立ち去る。
これで、すぐには追いかけられない。
食い逃げはいけない事です。しかし、その時、私は風林火山の如きこの食い逃げ男に感心してしまいました。例えは悪いですが、これも“プロの技”と言えるのかもしれません。
(後日談として、この食い逃げ男は有名な常習犯で、警察に捕まった様子です。)
株式会社イデヤ 編集者 |